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「イブン・バトゥータと旅する世界史」の実践と世界史教育⑤

(2限目~5限目のまとめ)
 2限目からいよいよ旅がはじまるが、私は各時間の最初に№1のプリントの全体の旅日程図を生徒に見せる。そうすることによって、今日学習する場所が、彼の旅行のなかでどの位置を占めているのかを明らかにすることができるからである。
 さて、2限目では№2のプリントを配布し、メッカを中心とする授業がはじまる。
世界史プリント№2
(資料1)(絵・村についた旅人)(略)
(資料2)
「 翌日の朝まだきに貴いメッカ(マッカ)の町に入り、直ちにアッラーの聖殿に赴いた。そこはアッラーの友アブラハムの家居のあとであり、預言者マホメットがはじめて教えを説いたところでもある。わたくし達は東北方のバヌー・シャイバ門から境内に入り、神聖なカーバを仰いだ。敬虔な群集がそれをとりまき、天国への路を求めようとしている。わたくし達もまた到着のタワーフ(カーバのまわりを7周すること)を行ない、聖石(カーバの東向の角にはめられた黒石)に接吻した。マカーム・イブラーヒーム(アブラハムの立ち場の義、アバラハムがカーバを建てたとき台にしたという石があり、円屋根がかけてある)で二ラカーの祈りを行ない、ザムザムの聖泉の水を飲んだ(ムスリムの祈りは立、坐、伏の三つの姿勢を順次にとり、それを一通り行なうことを一ラカーという。ザムザムは別名イスマーイールの井戸、カーバの東角に対し、深さ約三〇メートルあまりといわれる。)
 それからアッ・サファーとアルー・マルワの丘の間を走った後、イブラーヒーム門の近くに宿をとった。
 神の、いみじきわざのうち、とりわけて心を惹くことは、人々の胸のうちに、この霊域を訪れようという強い願望を植えつけ給うたことである。このあこがえれは、はげしくて、何者もこれを阻止することはできぬ。また一度この地に至った者は、深い愛着を生じ、もはや別れ去るにしのびなくなる。やむなく去り行くときは、必ず、再び三たび帰ってくるぞと心に誓うのである。」
 ながい文章であるが、生徒にこの資料を読ませ、イスラーム教徒にとってメッカとはどういう所なのか、またアッラーとは何かを問い、礼拝の様子などを説明する。
by YAMATAKE1949 | 2012-01-21 12:00 | 授業実践