第28回 世界史講座まとめ③(産業革命と社会問題)

2)世界の変化
 ヨーロッパで産業革命が進むと、一方でインドの綿工業が崩壊し失業者が増大するなど、アジアやアフリカなどの多くの地域では、先進工業国からの工業製品の輸入によって伝統的な産業が崩壊し、工業国に原料や食料を供給する役割を負わされる植民地となった。工業化に成功した先進国と、これらの諸国に経済的に依存する原料供給国の不平等な関係は、20世紀になって南北問題といわれるようになる。
4 社会の変化
1)資本主義社会の成立
 イギリスでは、急速な工業の発展によって、1820年代には、工業が生み出す富が農業から得られる富を超える工業国となり、産業資本家と賃金労働者の階級対立する資本主義社会が成立した。産業資本家は地主と並ぶ大きな社会的勢力に成長し、1830年代になると、選挙法改正によって、政治的発言権が大きくなった。
2)工業都市の誕生
 19世紀半ばのイギリスでは都市人口が農村人口を上回った。マンチェスターやリヴァプール・バーミンガムなど、多くの工場が集まる工業都市も生まれ、都市の周辺には労働者街やスラム街ができた。ロンドンのような大都市には近郊から都市内に通う者もふえ、郊外鉄道や都市交通が建設された。
 私はイギリス旅行で、コッツウォルズと呼ばれる田舎町をレンタカーでまわったが、ロンドンからそれほど遠くないこの地域が、田舎の町として取り残されたのかよくわかった。この地域は羊毛工業が盛んであった地域で、綿工業から起こった産業革命から取り残されたということなのだ。
5 社会問題の発生
1)労働問題の発生
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ムチで打たれる少年(織物産業には少年や少女が低賃金で働かされた。)(帝国書院「タペストリー」より)
 労働者は、劣悪で危険な環境のなかで、長時間、低賃金で働き、その地位も不安定であったので、労働問題が発生した。しかも機械化が進み、作業が単純になると、経営者は賃金の安い女性や子どもを雇った。
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ジン横町(人々はジンなどの強い酒で労働のうさを晴らし、夜泣きする乳幼児には酒が眠り薬として与えられたという。このようなジンの弊害を防ぐため、様々な方策がとられた。)(帝国書院「タペストリー」より)
 労働者は日曜日には、低賃金と長時間労働そして単純作業のうさを晴らすために安く強い酒であるジンをよく飲んだ。そのため月曜日の朝は二日酔いで仕事にならなかった。その対策として、経営者が労働者にジンの代わりとして勧めたのが当時イギリスでようやく安く手にはいるようになった紅茶である。紅茶は身体によい飲み物であり、このようにしてイギリスで紅茶が広まっていったのである。
2)労働運動の発生
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ラダイト運動(18世紀後半に機械の改良によって失業した熟練工たちが、機械や工場に敵意をもち、機械破壊を行った。1810年代に運動は激化し、政府は関係者を厳しく罰した。のちのチャーチスト運動や労働組合活動とは違って、打ちこわしという時代逆行的な運動であったので、成功しなかった。(帝国書院「タペストリー」より)
 19世紀前半のイギリスではラダイト運動といわれる機械打ちこわし運動が発生したが、政府により弾圧されるようになる。やがて労働者達は、労働組合を組織して経営者側と交渉するようになった。
3)公害問題の発生
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(左はスモッグで煙る工業都市、右はテムズ川の汚濁を描いた。)(産業革命は人口の都市集中を招いた。都市では石炭を産業活動や家庭燃料として使用したので、有害な物質を排出し、人々はスモッグに悩まされた。河川は工場からの排水と家庭から流れ出る汚水とで猛烈な異臭を発する状況であった。ロンドンのテムズ川の水では「一滴に百万匹の虫がいる」といわれたが、人々はこのような河川の水を生活用水として使用するしかなく、コレラの流行の一因ともなった。(帝国書院「タペストリー」より)
 都市では石炭を産業活動や家庭燃料として使用したので、公害問題が発生した。
4)社会主義思想の登場
 19世紀前半には、社会問題を解決するために、社会の仕組みを変えようとする社会主義思想が登場する。また、不景気やこれにともなう倒産、失業などがおきる理由を明らかにするために、資本主義経済の仕組みを考える経済学がさかんになった。
 次回の第29回世界史講座は、11月10日(土)午後2時から「アメリカ合衆国の成立」をテーマにおこないます、多数ご参加下さい。
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by YAMATAKE1949 | 2012-10-30 09:19 | 世界史講座 | Comments(2)
Commented by nobu-f at 2012-11-06 19:07 x
まとめを読んで講義中の熱意が蘇ります
Commented by YAMATAKE1949 at 2012-11-06 21:49
コメントありがとうございます。次はアメリカ独立革命です。私も次回を楽しみにしています。またコメント下さい。