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唐宋変革期をどう教えるか④

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(帝国書院「タペストリー」より)
(3)両税法の成立をどう見るか
先に、両税法の成立を国家によるきびしい支配が農民を逃亡させ、租庸調制が実施できなくなったためであると述べてきたが、それでよいのであろうか。それは支配者の論理・歴史ではないのか。むしろ生産力の発展によって両税法が実施されるようになったのではないか。唐代に2年三毛作が普及し、江南でも水稲栽培に田植えの技術が加わったことに着目し、そうした生産力の発展を基礎に地主制が展開され、一方で自作農=中小農民の土地に対する所有権を強めていったのではないか。両税法施行の意味は、たんに均田制を否定して土地の私有化を国家が認めたことや、搾取の形態が労働中心から生産物中心に移っただけでなく、土地の占有権しかもたなかった農民が土地の所有権を獲得できたことを意味すると私は思う。このような観点に立てば、宋代の社会経済の発展、商業都市の成長、さらに庶民文化が生まれてくることが理解できるのである。
by YAMATAKE1949 | 2012-12-06 16:54 | 授業実践