人気ブログランキング | 話題のタグを見る

トレヴィシックとスティーヴンソン⑥

写真2
トレヴィシックとスティーヴンソン⑥_a0226578_8185794.jpg
(東京法令「世界史のミュージアム」より)
【4】
 なぜスティーヴンソンの蒸気機関車は成功したのか
(資料4)
 スティーヴンソンの成功の原因は、蒸気シリンダのピストンを機関車の車輪に直結して、燃料から得られる出力を最大限にしたことである。かれはまた煙管ボイラーを使用し、蒸気の注入による押込通気を創始した。(R・J・フォーブス著『技術の歴史』岩波書店)
(解説)
 写真1のトレヴィシック蒸気機関車と写真2のスティーヴンソンの蒸気機関車を比較すると、スティーヴンソンの蒸気機関車の優れている点がよくわかる。それは、トレヴィシックの蒸気機関車がピストンの運動は、連結棒、クランクを使って歯車装置をつうじて動輪に伝えられたのに対し、スティーヴンソンの蒸気機関車は、ピストンを機関車の車輪に直結している点である。これによって燃料から得られる出力を最大限にしたことにより、蒸気機関車の重量を低く抑えることができたとともに、そのスピードをあげることができるようになったことである。
 スティーヴンソンの技術的な成功は、鉄道経営における成功をもたらし、その名は世界中に知られるようになった。一方、鉄道から手を引いたトレヴィシックは、高圧蒸気機関の製作へと移って南米のペルーへと渡った。しかし戦争に巻き込まれるなど不運に合い、無一文でイギリスに帰り貧しいままで一生を終え、人々から忘れられてしまった。彼が注目され、「蒸気機関車の父」と呼ばれるようになったのは最近のことである。
by YAMATAKE1949 | 2013-04-24 08:36 | 人物世界史