フランス革命をどう教えるか①

 「フランス革命をどう教えるか」は、2015年9月29日に大阪歴史教育者協議会世界史部会で私が報告したものです。
【授業のねらい】
① フランス革命前のアンシャン・レジームがどんな社会であったのか。特に第三身分のなかで、ブルジョアジーとよばれる商工業市民層が成長してきたことを理解させる。
② フランス革命の原動力となった自由・平等・人権などの革命思想はどのようにフランス社会に形成されていったのかを理解させる。
③ 三部会がなぜ招集されたのか、それがなぜ国民議会へと移行していったのか。そして国民議会を指導したのは自由主義貴族や有産市民であったことを理解させる。
④ フランス人権宣言がなぜ採択されたのか、それはどのような歴史的意義を持っているのかを理解させる。
⑤ 立法議会で指導権をにぎったジロンド派はなぜ革命戦争を起こしたのかを理解させる。
⑥ 8月10日事件がなぜ起こったのか。その頃にジロンド派によって出されたとされる「封建的特権の無償廃止」はどのような意義を持っているのか。
⑦ ルイ16世が処刑されフランス共和政が成立したが、なぜ国王は処刑されなければならなかったのかを理解させる。
⑧ ジャコバン派の独裁政治のもとで、93年憲法や革命的政策が実施されたが、それはどのような歴史的意義を持っているのかを理解させる。
⑨ なぜジャコバン派の独裁は恐怖政治を実現したのか、そして恐怖政治がテルミドール反動をもたらしたことを理解させる。
⑩ フランス革命の意義とは何かを考えさせる。
【授業展開】
1 アンシャン・レジーム
1) 革命前の社会
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(資料1)(第一学習社 「最新世界史図表」より)
問① 「革命前の風刺画」に描かれている第一身分・第二身分・第三身分とはそれぞれ何のことですか。
問② この風刺画は何をあらわしているのですか。
問③ 上の図でフランス人の頂点に国王がいますが、このような王政を何と呼びますか。
問④ このような王政の特徴は何ですか。
問⑤ なぜこのような王政がフランス社会の中で生まれたのかを考えてみよう。
問⑥ 上の図で、第三身分のなかから成長してきたのはどのよう人たちですか、彼らは何を求めたのかを考えてみよう。
(解説)フランス革命前の社会がアンシャン=レジームという厳しい身分制社会の絶対王政の時代であったことを生徒に理解させる。『岩波ジュニア新書 フランス革命』(遅塚忠躬著)のなかには、領主に対して民衆が土下座を強要させられていたという指摘もある。このような身分制社会のもとで、領主は農民から年貢(貢租)を徴収したり、商品の生産や流通にも重い貢租を課したりする権利(領主的諸権利)や領主裁判権などをもっていた。一方、第三身分のなかで、都市や農村でブルジョワとよばれる豊かな人たちが成長していった。農村のブルジョワは、領主制の下で大地主となって貧しい農民を小作人や日雇い農民として耕作させていた。また、都市のブルジョワは商工業の担い手として成長し、ブルジョワの一部には官職を購入して法服貴族となったものもある。
 ところで、小林氏の「高校世界史における フランス革命論批判 三一書房」では、「領主所有と土地所有の区別が正確になされていない」、「第一身分と第二身分の所有をみるならば、それは約30%の土地所有となり、この教科書の『多くの土地を所有し』という言葉とは矛盾する。」と指摘されている。私も今まで領主所有と土地所有の区別をしてこなかったので、後の「封建的特権の無償廃止」の意味を正確に捉えてこなかったことに気づいた。
 また、フランス革命の前提として18世紀末のヨーロッパ情勢を捉えておかなければならない。18世紀末にイギリスは、世界貿易の覇権と植民地の争奪とをめぐる戦いにおいて優位を占めた。この優位に支えられて、イギリスでは18世紀後半頃から産業革命が始まり、イギリスの経済力はさらに増大していった。このまま行けばフランスは経済的に後進国に転落することを意味していたから、フランス革命は、このような危機に追い詰められたフランスがその危機を克服するために、国内の古い体制の変革に踏み切ったものであるという点を押さえておく必要がある。
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by YAMATAKE1949 | 2015-12-21 08:51 | 授業実践 | Comments(0)