第52回日本史講座のまとめ③ (条約改正)

2 条約改正
1) 寺島宗典
 幕末に幕府が欧米諸国と結んだ不平等条約を改正することを目標に近代化につとめてきた明治政府にとって、その中心問題は関税自主権の獲得と領事裁判制度の撤廃であった。
 1878年、外務卿寺島宗典に交渉させ、アメリカとの間で関税自主権の回復の合意をえたが、イギリスの反対にあって不成功に終わった。
2) 井上馨
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(東京法令「日本史のアーカイブ」より)
 1882年、井上外務卿(のち外務大臣)は、2年以内に外人の内地雑居を認めること、外国人判事を任用すること、近代的諸法律を2年以内に制定することなどを条件に、領事裁判権を撤廃し輸入税率を引き上げるという案を提示して交渉を開始した。
 井上はこの交渉を成功させるため、いわゆる欧化政策をとり、盛んに欧米の制度や風俗・習慣・生活様式などを取り入れ、欧米諸国の関心を引こうとした。鹿鳴館では毎夜のように政府の高官が内外の紳士・淑女を招待して西洋式の舞踏会を開いた。
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(東京法令「日本史のアーカイブ」より)
 鹿鳴館外交が行われていたちょうどその頃、ノルマントン号事件が1866年に起こった。この事件は、イギリス貨物船ノルマントン号が紀州沖で難破し、船長以下乗組員26名は全員救助されたが、日本人乗客23名(25名とも)全員が水死したというものである。領事裁判権のためイギリス領事が裁いた結果、この船長は無罪となり、不平等条約に対する怒りが益々民衆のなかからわき起こった。
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(東京書籍「図説日本史」より)
 さらに外国人を判事を任用するという井上案が外部に漏れると、政府内外から激しい反対の声が起こった。そのため1887年、井上はついに交渉の無期延期を通告して辞職した。
3) 大隈重信
 1888年に外務大臣となった大隈重信は、外人判事任用を大審院に限るとする修正案を提示して国別に交渉に当たったが、この内容が『ロンドンタイムズ』紙上に暴露されると、1889年10月、大隈は国権主義の結社である玄洋社の活動家に負傷させられ改正交渉は失敗した。
4) 青木周蔵
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(東京法令「日本史のアーカイブ」より)
 1890年になると、東アジア進出をもくろむロシアの動きが変化をもたらした。イギリスは日本を東アジアでの協力者にして、ロシアに対抗させようとしたため、日本に妥協的になってきた。そのため青木周蔵外務大臣が提案した、外国人判事の任用をふくまない領事裁判権の撤廃案に同意していた。しかし、1891年に訪日中のロシア皇太子が警備していた警察官に負傷させられるという大津事件が起こり、改正交渉はまたもや中断させられた。
 大津事件で日露関係の悪化を恐れる政府は、大審院院長の児島惟謙(こじまいけん)に、天皇や皇族に対して危害を加えたり、加えようとする者を死刑とする刑法の大逆罪の適用を求めたが、児島はそれを退け、普通謀殺未遂罪を適用させた。司法権の独立を守った判決として有名である。
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(東京法令「日本史のアーカイブ」より)

大津事件は今から20数年ほど前に再び脚光を浴びた。大津市が保管しているニコライの血のついたハンカチや刀を貸してもらえないかというロシアからの依頼があったからである。その理由は、1789年のロシア革命によりシベリアへと連行されて以後、行方不明となっていたニコライ2世ではないかという遺体がソ連崩壊後の探索で発見された。遺体がニコライであるかを確かめるには遺体のDNAと彼が皇太子の時に負傷したハンカチや刀に付着したDNAを調べることによって確認できるからである。その結果、遺体がニコライのものであることが確かめられた。

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(東京法令「日本史のアーカイブ」より)
 5) 三大事件建白運動
 秩父事件以後、衰えていた自由民権運動は、国会開設を目前にした1866年、旧自由党員の星亨(とおる)や中江兆民らが民権家に再結集を呼びかけると、後藤象二郎らを中心に運動は再び高揚した。彼らは政党間の小異を捨てて政府に対抗する大同団結運動を展開した。翌年には、高知県の民権結社総代が、地租の引き下げ、言論・集会の自由、外交失策の挽回(ばんかい)を要求する三大事件建白を元老院に提出すると、運動はたちまち広がり、各地から代表が上京して激しい陳情を繰り返すなど、東京は運動の中心地となった。これに対し同じ1887年、政府は、民権家570名を皇居外3里に追放する保安条例や新聞紙条例を改正して取り締まりを強化した。
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by YAMATAKE1949 | 2016-12-20 11:48 | 日本史講座 | Comments(0)