第27回世界史講座のまとめ①(産業革命)
Ⅰ 産業革命
1 産業革命
1)三角貿易(イギリスの資本の蓄積)
17世紀後半以降、ヨーロッパから綿布やガラス細工、武器などの工業製品がアフリカにおくられ、ここから黒人奴隷が南北アメリカにおくられ、南北アメリカから砂糖やタバコ、綿花がヨーロッパに向かう、三角貿易が成立した。ヨーロッパ諸国、ことにイギリスはこの貿易で大きな利益を得た。
三角貿易は18世紀を通じて発展し、イギリスから大量に輸出できる綿布が必要になった。そこで綿工業が成長していったのであった。
古代からアジアで利用されていたインド原産の綿布は、インドがイギリスの植民地となった17世紀以降、イギリスで歓迎され、毛織物産業を圧迫して17世紀末には輸入が禁止された。綿布は安くて丈夫で染色が容易で、しかも汗を吸い取るという利点があった。イギリスで綿布が下着として利用されたおかげでイギリス人の寿命が延びたとも言われている。綿布の需要はイギリス本国だけでなく、イギリスの植民地にも広がった。
カリブ海などで生産された原綿が運ばれ、イギリスで加工されるようになったイギリス製綿布の輸出は急速に延び、原綿の輸入が増大した。原綿の輸入が増えると織布の作業に機械化が進み、18世紀後半にはワットが改良した蒸気機関を使った織機まで開発された。
2)綿工業の技術革命
1733年にジョン・ケイが飛び杼を発明すると布を織る速度が従来の2倍になった。そのため原料である糸が不足するようになった。そこで1764年にハーグリーヴズがジェニー紡績機を発明すると、糸を紡ぐ速度が6~7倍になった。さらに1769年にはアークライトが水力紡績機を発明すると、紡ぐ速度が600倍になり今度は糸があまってきた。そこで1785年にカートライトは力織機を発明し、蒸気機関を利用することで大量の布の生産が可能となった。
(「最新世界史図説 タペストリー」帝国書院より)