モロッコ旅行記⑨
8月6日(土)午前8時に集合し、バスでエッサ・ウィラへ向かった。距離は174㎞、所要時間は約3時間30分の行程である。この町の歴史は古く、前800年代のフェニキア時代から港町として栄えた。モーリタニアのベルベル族王子ジューバ2世の時代に、ここは紫色の染料の生産地として有名になり、ローマ人にもてはやされた。16世紀にはポルトガルのマヌエル国王がここに壮大な要塞を建てさせた。18世紀に入って、アラウィー朝の第4代の王アブダラがこの地の安全性に注目し、要塞と港を建設させた。そして、1765年、フランス人の建築家テオドール・クールニュに設計を命じ、新しい町が建設された。
エッサ・ウィラへ向かう途中、アルガンオイルを製造販売しているショップに案内された。アルガンオイルというのは、モロッコの南部にしか生育しないアルガンツリーの実から作られる植物性のオイルのことである。アルガンの実を石で割り、真ん中の核の部分を取り出して、石臼で挽いてペースト状にしてそこからオイルを取り出す。昔から美容オイルや調味料として重宝されている。
ところで、バスがそのショップに向かう途中、添乗員さんが、「山羊は木に登ってアルガンの実を食べることがありますが、その写真をみなさんにお見せしましょう。」と言ったあとで、「その必要がありません、今バスから、山羊がアルガンの木に登っているところを見ることができます。」と言って、バスは停車し、私たちは珍しい写真を撮ることができた。ところが、よく見ると山羊は全然実を食べておらず、怖がっているようすである。しかも他のアルガンの木には登っておらず、一本の木に登っているだけである。私が、まるで私たち観光客のために登っているようだと指摘すると、添乗員さんは、実はその通り、観光客のためにわざと登らせているとのことであった。
山羊がアルガンの木に登っているところ
私はたちはこのショップでオイルの作られる様子をみせてもらい、高価であったが、お土産にたくさんのアルガンオイルを購入した。
アルガンの実を石で割っているところ
オイルを取り出すところ
エッサ・ウィラの町で最初に訪れたのは、メディナ(旧市街)である。この町は大西洋の港町であるので、今までモロッコの市場では見ることのできなかった魚介類をたくさん見ることができた。モロッコの人は、タコは食べないけれどイカは食べるということだ。市場でイカとタイが売られていたが、ガイドのフワットさんによると、イカは1㎏600円、タイは2匹で600円とのことである。
タイとイカ
ところで、モロッコのメディナ(旧市街)を歩いていると必ず猫に出会った。犬はあまり見なかったが猫の多さには本当にびっくりした。この市場の魚売り場にも猫がおり、誰も追い払おうとしないのには驚いた。
魚市場の猫
次に私たちは、スカラ(海に向かって大砲を配置した砲床=見張り台のこと)を見学した。これは、1769年にアラウィー朝の王アブダラによってによって造られたものである。大西洋に向かって大砲がズラリと一列に並んだ様子は、昔をしのばせるものがある。そのもっと昔、1492年にコロンブスもこの港を通って大西洋を渡って行ったのである。
大砲を配置した砲床
昼食はモロッコへ来て初めてのシーフード料理で、久しぶりのイワシのフライと小エビはおいしかった。
イワシのフライと小エビ
昼食後、私たちはバスでアルジャディーダへと向かった。距離は約286㎞、所要時間は3時間30分の行程である。バスは大西洋の海岸線を走っていくものだと思い、座席を海の見える左側に確保したが、残念ながら海岸線よりも陸地に入ったきれいに舗装された走りやすい道を通って行った。
アルジャディーダに向かう道路
アルジャディーダのホテルに到着したのは午後7時頃だった。ホテルは大西洋岸に面しており、私たちの部屋から大西洋の砂浜が見えた。