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「階級の発生と国家の形成」をどう教えるか②

2 世界史学習の目標
 私がこれから報告する授業の前提となっている世界史学習の目標から考えていきたい。現代に生きる高校生にとって、世界史を学ぶ意義はどこにあるのか。遠山茂樹氏は、その名著『歴史学から歴史教育へ』のなかで、「高等学校歴史の重点は、あくまでも世界史である。世界史が学ばれる中で、日本史の認識が次元の異なる深まりを示すことは明らかである。そして、世界史の基礎的知識が欠けていては、大学でどの方向に進むにせよ、所期の大学教育は行ないえないからである。」と述べられている。ここでいう「日本史の認識が次元の異なる深まりを示す」とはどのような意味なのか。それは、世界史では、日本史を東アジア史の一環として学ぶことができる、というような単純な意味ではなく、小学校や中学校で学んできた日本歴史の発展を、世界歴史(人類史)の発展の視野のなかでとらえることができるということではないか。だからこそ私は、原始から現代にいたる体系的な世界史学習が必要であると考えている。体系的な世界史を学ぶことによってこそ、初めて人類社会の発展の普遍的な法則性が追求できるのであり、また、人類社会の発展の普遍的な法則性を追求することによって、現代に生きる日本人の課題も明らかになっていくのだと思う。
 このように世界史教育は、かなり高度な認識を必要とする。そのために、小学生や中学生の発達段階では困難であり、高校生になって初めて学習可能なものなのである。だからこそ遠山氏は、高校における歴史教育の中心に世界史を位置づけられているのだと思う。
 つぎに、遠山氏は、「世界史の基礎知識」を非常に重視されている。まさにその通りだと思う。とくに、近現代史における基礎知識は、現代社会を生きていくうえにおいて必須の条件なのである。だから、授業で近現代史をきちんとおこなえないということは重大な問題である。だからこそ前近代の授業では、思い切った教材の精選が必要なのである。
 以上の観点に立って私は世界史の授業をおこなっているが、それを整理すると次のようになる。
① 人類社会発展の普遍的法則性を追求する。そのため原始から現代までの体系的な世界史の追求。
② 各地域・民族の発展の特殊性、具体性を明らかにしていく。
③ 近現代史を重視
④ 前近代史を、社会発展に重点を置いて精選する。
by YAMATAKE1949 | 2012-03-20 20:36