イブン=バトゥータと鄭和③

●海のシルクロード●
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イブン・バトゥータの旅行路(「東京書籍 新選世界史B」より)
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 イブン=バトゥータが旅した経路と、それから約80年のちに鄭和が艦隊を率いた経路を比較してもらいたい。もちろんスペインやアフリカのサハラ、小アジアから中央アジアなどの内陸を別として、その航海路がいかによく似た場所であるかがわかるだろう。東から見ていくと、泉州・スマトラ・ベンガル・セイロン・モルディブ・カリカット・ホルムズ・ジッダからアフリカ東海岸へとその経路は驚くほど一致している。それは決して偶然ではなかった。
 彼らよりはるか以前、イスラーム商人の活動とともに、宋代以降の経済の発達は中国における海外貿易を活発にし、11世紀末から12世紀かけて遠洋航海が発達したといわれている。中国の商船がインドやペルシア、さらに東アフリカ沿岸まで航海したという見解もある。イブン=バトゥータも「カリカットの港には13隻のシナ船が来ていた」と記述しており、彼自身もカリカットで中国船に乗り換えて中国をめざしたのである。
 この航海路は中国をのぞいてはほとんどがイスラーム社会であった。永楽帝が宦官であった鄭和を航海の指導者に選んだのも、彼がイスラーム教徒であったことと無縁ではないだろう。
 イブン=バトゥータや鄭和たちがたどった航海路、それは彼らよりはるか以前にイスラーム商人や中国の商人たちが活動していた商業路であった。中国から絹織物や陶磁器が、西からは香料や宝石がもたらされた、いわゆる「海のシルクロード」であった。このような航路の存在が彼らの航海を可能にしたのではないだろうか。
 参考文献 前嶋信次訳『世界探検全集2 三大陸周遊記』(河出書房新社 1977) 
      寺田隆信『中国の大航海者 鄭和』(清水書院 1984) 
      伴野朗『大航海者』(集英社 1987)
 「イブン=バトゥータと鄭和」は『シリーズ 知っておきたい 中国1 東アジアのなかの中国』
(青木書店 1996)に私が記載したものです。
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by YAMATAKE1949 | 2012-03-31 10:22 | その他 | Comments(0)