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第22回世界史講のまとめ②(大航海時代の背景)

3 大航海時代の背景
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(東京法令『世界史のミュージアム』より)
 上の表を見てもわかるように当時の航海は大変リスクをともなうものであった。にもかかわらず、なぜ当時の航海者たちは、このようの冒険をおこなったのであろう。大航海時代の背景には何があったのかを探っていきたい。
 先ず第一に大航海時代の中心となった国が、ポルトガルとスペインであったことが重要である。大西洋に面しており、大航海時代に有利な地理的な位置にあったとは言えるが、なんといってもこの国々は、国土回復運(レコンキスタ)により、イベリア半島のイスラーム諸国と戦って勢力を伸ばし、ヨーロッパの中では早くから中央集権的な王権が成立していた。
 次に経済的な問題である。14世紀後半、ヨーロッパではペストや農民一揆などで経済が停滞していたが、ポルトガルでも同様で、国家の収入は大きく落ち込んでいた。そこで、海外進出がこころみられた。この頃、ヨーロッパではアジア特産の香辛料の需要が高かったが、イスラーム商人に独占されていたので、直接獲得しようとする要求が強まった。また、マルコ・ポーロの「東方見聞録」は、アジアへの関心を高めた。
 次にこの国々は、イスラーム文化から学んだ高い文化を持っていたことがあげられる。イベリア半島は、5世紀にわたるイスラーム教徒の支配下におかれていた。そのためヨーロッパ大陸の外部についての豊かな知識をもっていた。また、イスラーム文化の影響を受け、地理学や天文学などが発達し、羅針盤による航海術も移植されていた。
4 大航海のもたらしたもの
 スペインはペルーやメキシコの鉱山から銀を入手したが、そのためヨーロッパの銀価格が下落し、物価の上昇をまねいたが、これを価格革命と呼ぶ。その結果、貨幣地代を受け取っていた領主層は衰え、またヨーロッパの銀を供給していた南ドイツの銀山と金融業者は没落した。
 商業ルートの中心地は、従来の地中海から大西洋に移った。そのため、ジェノバやピサなどのイタリア半島の港湾都市はしだいに衰え、大西洋に面したリスボンやアントワープなどが大西洋貿易で活発となった。
 大西洋貿易の発展は、アメリカ原産のトマト・ジャガイモ・タバコ・などがヨーロッパに流入し、商品の種類を大きく変えるとともに商品の流れる方向も大きく変えた。このような変化を商業革命と呼ぶ。
by YAMATAKE1949 | 2012-07-27 05:52 | 世界史講座