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唐宋変革期をどう教えるか③

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王安石(東京法令「世界史のミュージアム」より)
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上の表に示したように、唐宋時代を比較すると、そこには皇帝権力の強さに大きな違いがある。つまり、唐の皇帝権力は貴族の力に抑制されているのに対し、宋では皇帝独裁体制が確立する。それでは宋の皇帝権力の基盤が何であるかという点については、図1に見られるように、従来、地主―佃戸制を基盤としたものであるとされてきた。しかし、それは次の点で疑問が残る。一つは宋代の佃戸数の問題である。『新講世界史』(三省堂)などによると、佃戸の数は農民全体の3分の1ぐらいしかないこと。次に国家権力を強化するために出された王安石の改革が、地主―佃戸制を抑え、自作農=中小農民の保護育成につとめたものであったこと。以上の点から、宋代の皇帝権力の基盤を単純に地主―佃戸制に求めるのではなく、むしろ両税法の対象となった自作農=中小農民と見たほうがよいのではないだろうか。
by YAMATAKE1949 | 2012-12-04 07:28 | 授業実践