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生活文化の世界史(コーヒーの世界史①)

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(浜島書店「アカデミア世界史」より)
 1) コーヒーの原産地はどこか
 私の小さかった頃、西田佐知子の「コーヒールンバ」という歌が大ヒットした。
「昔アラブの偉いお坊さんが、恋を忘れた あわれな男に 
しびれるような 香りいっぱいの こはく色した
飲み物を教えてあげました。やがて心うきうき 
とても不思議このムード たちまち男は若い娘に恋をした」
 この歌詞にあるように、コーヒーとアラブのお坊さんとは深い結びつきがある。ただし、厳密に言えば、イスラーム教にはお坊さんはいない。神の前ではすべての人は平等であり、キリスト教のような神と人間を仲介する牧師(神父)=坊さんは認められていない。イスラーム教を熱心に学ぶスーフィーと呼ばれる修道士が存在し、このスーフィーがコーヒーを広めたのである。
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(中公新書「コーヒーが廻り世界史が廻る」より)
① コーヒー起源伝説「アラビアの山羊飼いカルディの物語」
「カルディが、ある時、山羊を新しい牧草地に連れて行くと、山羊が興奮して、夜になってもいっこうに寝つこうとしない。困ったカルディは近くの修道院に相談に出かける。修道院長のスキアドリが調べてみると、山羊が潅木の実を食べているのが分かった。彼はその実をいろいろに試しているうちに、ある時、ゆでて飲んでみた。するとその夜、寝入ることができずに、あることを思いつく。修道院では夜の礼拝を行なっていたが、修道僧の中には居眠りするものもいる。そこで修道院長はその飲み物を彼らに飲ませたのである。効果は絶大、その後、彼らは夜の礼拝の度ごとにその黒い飲み物を飲むようになった。」(17世紀のイタリア人ファウステ・ナイローニという東洋学者が書いた話をもとにしている。)
② コーヒー起源伝説「モカの聖者アリー・イブン・ウマルの物語」
「モカに流行り病がおそったとき、病人たちはアッラーの教えに通じていたウマルに救いを求めた。彼の祈りによって多くの人が快癒し、その噂を聞きつけていっそう多くの病人たちが彼のもとに訪れたが、その中に、まれに見る美しい娘がいたが土地の領主の娘であった。娘は数日も経つと病気も治り元気に家に帰っていった。ところが、この出来事が、町の人々にあらぬ噂を立てさせる事になった。あれほど見目麗しい娘と一つ屋根の下に寝起きして、何も起きなかったはずがない。やがて噂は領主の耳にも達し、領主は激しい怒りに駆られてウマルを追放した。町を追われたウマルとその弟子たちは、食べるものもないウザブの山中でコーヒーの木を見つけ、その実を食べて暮らすうちに、やがて煮立てて飲む事を覚えた。その頃、モカには疥癬(伝染性皮膚病)が猛威をふるっていた。ウマルのことを覚えていた人々は再び彼を求めてウザブの山に分け入って来た。ウマルはそんな人びとのために祈りを唱え、コーヒーの液を飲ませると病気は治った。」(この話はイスラム圏で広く知られた起源伝説で、イエメンのモカをコーヒー発祥の地とするものである。)
by YAMATAKE1949 | 2013-09-04 09:21 | 授業実践