中央ヨーロッパ旅行記23(オーストリア ヴァッハウ渓谷②)

青地に二つの交差した鍵がついているが、これが修道院の紋章である。この紋章は、修道院に入る門の所にも描かれていた。

バルコニーの左右には、修道院教会の守護聖人である二大使徒ペテロとパウロの像が小さな台座の上に立っている。
かつての皇帝の間は博物館となっており、有名な宝物やその他歴史的資料も公開されている。まず目に付いたのは、マリア・テレジアと夫フランツ1世の絵画であった。



また、この部屋には、マリア・テレジアが着ていたと思われる豪華な金糸で装飾された衣装が展示されていた。

マリア・テレジアの跡を継いだヨーゼフ2世は、啓蒙専制君主と呼ばれ、質素倹約を重んじたといわれている。彼の時代には王室でも安い麻の衣装が採用された。

ヨーゼフ2世の時代には、何回も使用できる棺が考案された。

この棺は底を開けるように工夫されており、遺体だけを墓穴にいれて再度使用することができる。




大理石の間からドナウ川を見下ろすテラスを通ると図書室がある。

テラスからはメルク川がドナウ川に流れ込んでいる景色が見える。

図書室には、約10万冊の蔵書と貴重な手書き本1888冊を納めている。螺旋階段を上がると教会へと続いている。

メルク修道院を見学した後、私たちは修道院の近くのレストランで食事をした。ガイドさんのお薦めで、ここでしか飲めないグリューナーヴェルトリーナーという白ワインを飲んだがおいしかった。オーストリアのような寒い地方では、赤ワインに適した品種のぶどうが育たなく、白ワインが多いとのことである。食事の後、私たちはバスで、ヴァッハウ渓谷の景勝地へとしばらく走り、売店がある場所で休憩となった。私はワインの酔いをさますために川沿いを歩いたが、その時鉄橋を走る列車が見えた。ところが列車は鉄橋をなかなか通過しない。

ヴァッハウ渓谷の景勝地を走る列車であるから、見学者のためにわざとゆっくり走っていることに私は気がついた。