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フランス旅行記③(シャルトル②)

 昨日紹介したシャルトル大聖堂の聖宝である「サンクタ・カミージア(聖衣)」とは、キリスト生誕時に聖母マリアが身にまとっていたといわれる衣のことである。この聖衣のおかげでシャルトルの大聖堂は、中世ヨーロッパで最も数多くの巡礼者を集める聖地の一つに数えられるようになった。
 大聖堂内部での写真撮影は許可されたが、フラッシュが禁止されたためきれいに撮影することができなかった。とりわけ「聖衣」だと指摘されたものを撮影したが、残念ながらほとんど映っていなかったが一応ここに載せることにした。
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(聖衣)
 聖衣の横に案内板があり、そこに載っている左側の写真が聖衣といわれるものである。
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(聖衣の案内板)
 この聖衣こそ聖母マリアがキリスト生誕時にまとっていた衣だといわれる。しかし、どう考えても私には納得できない。キリスト生誕時といえば紀元前1世紀のことであり、その頃の衣がこのようにきれいな状態で保存されていること自体あり得ない。ましてやその衣を聖母マリアがまとっていたという証拠はどこにもない。
 現在、シャルトル大聖堂が世界中に知られるのは世界一美しいといわれるステンドグラスのためである。特に深みのあるブルーはシャルトル・ブルーと呼ばれている。
 シャルトル大聖堂には150以上の窓があり、その窓には中世期の集大成ともいえる最高傑作のステンドグラスがある。そこには中世における信仰と日常生活の様子が描かれている。
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(ステンドグラス)
 ステンドグラスの中でとりわけ有名なのが青い聖母(大ステンドグラスの聖母マリアとして知られる)の窓である。
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(青い聖母の窓)
 このステンドグラスは1150年頃に作られたものであるが、色鮮やかな聖母の部分は1991年に修復されたものである。
 ステンドグラスには聖書をモチーフとして描かれている。以下のステンドグラスの写真は私が撮影したものではなく、シャルトルで購入した『マルコム・ミラー著 シャルトル大聖堂』よりスキャンしたものである。
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(「シャルトル大聖堂」より)
 上のステンドグラスは「ノアの窓」の部分である。菱形部分で、下は箱舟を造るノア、上は大洪水がやってくる様子が描かれている。左右には、箱舟に入る動物が見られる。
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(「シャルトル大聖堂」より)
 四つ葉飾りの下花弁には、たとえ話を説くイエスの姿が描かれている。左花弁には、エルサレムを発ってエリコに下る途中に強盗に襲われた男が、上花弁には傷を負ったまま道路に置き去りにされた姿が見られる。まず一人の祭司が通り過ぎ、続いてレビ人が通り過ぎる。円形部分では、通りかかったサマリヤ人がこの人の傷に包帯を巻き、介抱するため宿屋に連れて行く様子が描かれている。
 大聖堂にはシャルトルの商人でつくられた同業者組合によって42の窓が献納されている。その窓には各職業が描かれた100以上の場面を通じて、13世紀初期の日常生活の様子をうかがい知ることができる。
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(「シャルトル大聖堂」より)
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(「シャルトル大聖堂」より)
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(「シャルトル大聖堂」より)
 献納した商人の姿が描かれている。上はノアの窓の酒屋、中は聖母被昇天の窓の靴屋、下は聖母の奇跡の窓を献納した肉屋。
 
by YAMATAKE1949 | 2014-06-04 09:46 | 旅行記