ブルガリア・ルーマニア旅行記6 (ソフィア⑤)
国会図書館か市庁舎を連想させるこの石造りの立派な建物が、1910年に建てられた中央市場である。1989年の東欧革命で営業が途絶えていたが、2000年にショッピングセンターとして新たに復活した。地上2階、地下1階の館内は、食料品店や雑貨品や土産物屋もある。1階には噴水があり、またフードコートには中高年の男性たちが椅子に座っていた。
私たち夫婦は現地ガイドのルネさんが勧めるブルガリア産のワインをここで一本買うことにした。
次に私たちバスでレストランへと向かったが、その途中車窓から国会議事堂広場の中央に建つ解放者記念像を見ることができた。
この像はロシア皇帝アレクサンドル2世の騎馬像である。これは露土戦争の勝利によって、ブルガリアをオスマン帝国の支配から解放した英雄として讃えるために建てられたモニュメントである。
昼食をとったレストランの庭には谷空木(たにうつぎ)の花がきれいに咲いていた。
次に私たちはバスでボヤナ教会へと向かった。
この教会はソフィア市内から南西へおよそ8㎞、ヴィトシャ山の麓に建っ世界遺産に指定されているブルガリア正教会の教会堂である。
こんな小さな教会がなぜ世界遺産に指定されたのかというと、この教会堂の内部に1259年にフレスコ画によって描かれた壁画のすばらしさにある。従来の宗教画は写実性に乏しく様式化されていたが、ここのフレスコ画はより写実的で表現豊かに描かれており、中世ブルガリア美術の最高傑作として位置づけられている。
教会堂の内部が狭いため私たちは3組に分けられ、教会堂には10人ずつ入ることになった。残念ながら写真撮影は一切禁止されていたので、ここで購入したパンフレットをスキャンすることによって壁画を紹介しよう。
この教会についてブルガリア・オフィシャル観光サイトによると、「教会は、それぞれ11世紀、13世紀、19世紀半ばといった、3つの時期にわたり建設されたものです。最も古い壁画層は12世紀のものです。13世紀に、当時ソフィアの地方の領主だったカロヤン伯爵と夫人デシスラヴァの資金で、後には霊廟に使うために2階建ての部分が増築されました。二人が残した碑文によると、2回目の壁画が施されたのは1259年です。修復工事で名前が明らかになった二人の画家、ヴァシリエとディミタルが旧部分の壁画の上、そして新築の2階建てに壁画を描きました。ボヤナの教会が世界的に有名になったのは、ブルガリア中世美術の高水準を物語る1259年の壁画のためです。240枚ある絵の一枚一枚は個性が溢れています。資金提供者の伯爵夫妻とコンスタンティン・アセン・ティフ王(在位1257~1277年)と王妃のイリナの肖像は、歴史人物の肖像画でブルガリア最古のものとされています。」とある。
このカロヤン伯爵夫婦を描いたフレスコ画が最も有名で、ガイドブックなどにも載せられている。
現地ガイドのルネさんによると伯爵の手にはこの教会がのっていると指摘されたが、確かにいわれてみればそのように見える。
ブルガリア・オフィシャル観光サイトによると、「拝廊では、教会の守護聖者の一人、聖ニコラの生涯場面が18枚描かれており、その中には画家を取り囲む当時の時代の現実が描かれています。」とある。
壁画には聖書に記された出来事が多く描かれている。
この壁画は母子像を囲むようにマリアの母アンナ(右)、父ヨアキム(左)が描かれている
レオナルド・ダヴィンチの作品で有名だが、十二使徒と共に取った夕食の様子が描かれているが、この壁画には使徒は11人しか描かれていない。
この壁画はキリストが、高い山で弟子たちを伴い白く光り輝く姿を示したという出来事を描いたものである。
全能のキリストが左手に福音書を持ち、右手は祝福の動作の形で描かれている。