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第72回日本史講座のまとめ③(占領政策の転換)

2 占領政策の転換
1)政策転換の背景
 中国共産党の優勢ぶりは、中国をアジアの拠点と考えていたアメリカに政策変更を迫る出来事となった。そのため、アメリカは、日本の民主化を促すよりも、早急に復興させて、政治的に安定した資本主義国となることを望むようになった。そのため、非軍事化政策をやめて独占資本主義を積極的に再建する政策に転換しようとした。
2)対日賠償の軽減と企業分割の緩和
 1948年、来日したドレーパー米陸軍次官らは、対日賠償を軽くし、過度経済力集中排除法による企業分割をゆるめるよう、マッカーサーに進言した。その結果、軍事施設などの生産施設の賠償取立て中止命令が出され、東アジアの諸民族は、日本から受けた被害を日本につぐなわせる国際的保障を失った。この結果、排除法の適用から銀行が除外され、最終的には日本製鉄会社・三菱重工業など11社が企業分割された。このような情勢に勇気づけられた日本の独占資本は、1948年4月、日本経営者団体連盟(日経連)を創設した。
3)経済安定9原則
 1948年、芦田均内閣はマッカーサー書簡にもとづいて、公務員の争議権と団体交渉権を否認する政令201号を施行し、さらにマッカーサーは第2次吉田内閣に対して日本経済の復興のための経済安定9原則の実施を命じた。9原則の内容は、①財政の均衡、②徴税の強化促進、③融資制限、④賃金の安定、⑤価格統制の強化、⑥貿易為替管理の改善、⑦輸出の振興、⑧鉱工業生産の増強、⑨食料供給の能率化、であった。これは日本経済の自立と対日援助軽減を目指すことを目的としたものである。
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(東京法令「日本史のアーカイブ」より)
by YAMATAKE1949 | 2018-02-14 10:36 | 日本史講座