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第76回日本史講座のまとめ①(企業中心社会の形成)

 第76回日本史講座は4月14日(土)、受講者のお家で豪華な食事をご馳走になった後、午後2時より受講者で6名で行われました。
 Ⅱ 企業中心社会の形成
1 大企業集団の形成
 高度経済成長は、国内経済のしくみにも大きな変化をもたらし、国際競争の激化にそなえるため、欧米とは異なる日本独特の企業集団と企業内部の労使関係が形成されていった。
 六大都市銀行(三井・三菱・住友・富士・第一・三和)は、過度経済力集中排除法の指定範囲からはずされたため、系列企業への融資などを通じて再び大企業集団を形成していった。大企業集団は、資本の自由化による外国企業の乗っ取りにそなえ、大型合併や系列企業どうしで株式を持ちあい、結びつきを強め、下請けの中小企業はそのもとに系列化されていった。
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(岩波新書 シリーズ日本近現代史⑧ 高度成長 より)
2 日本的経営の形成
 日本的経営の特色は、第一に、労働組合が企業別組合であり、従業員は終身雇用と年功賃金という制度のもとで、大企業では比較的安定した地位を得ていたことであった。従業員は品質管理運動などによって生産性向上に協力し、企業経営への参加意識が高かった。そのために生産現場のコスト意識が高く、企業別組合であるために、技術革新に伴う配置転換の必要性などにも柔軟に対応できるなどの特徴もあった。第二に、下請関係なども含めて緊密な企業間関係が比較的長期に維持される傾向にあった。組立加工型工業において、組立メーカーと主要部品メーカーの関係は、60年代になると両社間の技術交流によって部品メーカーの生産性向上を図り、一体となって最終製品のコスト削減を試みる面も生まれた。第三に、大企業には、メインバンクといわれる主取引金融機関があり、運転資金調達に関しては、メインバンクを中核とする協調融資が重要な役割を果たした。(岩波新書 シリーズ日本近現代史⑧ 高度成長 武田晴人著より)
 このような日本企業の特徴は、日本経済システムの後進性をあらわすものであるとされていたが、やがてこのような特徴が日本企業の強さの源泉だといわれるようになっていった。

by YAMATAKE1949 | 2018-04-16 09:46 | 日本史講座